Linuxの資格の難易度と取得のための勉強法を紹介

　「Linuxを業務で使うからスキル・キャリアアップをしたい。」
　「未経験だけど、Linuxのスキルがある証明をしたい。」

このような方におすすめなのが資格の取得です。LInuxには専用の資格が用意されており、その取得を通してスキルや知識の証明ができます。

この記事ではLInuxのおすすめの資格とそれぞれの出題の範囲、資格取得のための勉強法を解説します。

Linux資格の種類と特徴

Linuxのスキルを示すスキルは多種多様です。Linux自体が取り扱っている範囲が多く、それによって取得すべき資格も異なるためです。ここでは以下の5つの資格を紹介します。

LPIC/Linuc：Linuxの普遍的な資格

LPIC（Linux Professional Institute Certification/Linux技術者認定試験）は、Linuxの知識を証明する国際的に認知された資格です。カナダに本部を置くNPO法人「Linux Professional Institute（LPI）」の日本支部によって提供されており、オペレーティングシステムの基本的な操作から、システム管理、ネットワーク管理まで、Linuxに関する広範な知識とスキルが試されます。

LPICを取得することで、Linuxに関する実践的な知識とスキルを証明でき、キャリアの幅が広がります。また、企業はLPICを持つ人材を採用することで、Linux環境の構築や管理、トラブルシューティングにおいて、高いレベルのスキルと知識の確保が可能です。

また、LPICとよく似た試験にLinuc（Linux Professional Certification）と言われる試験もあります。LinucはLPICをベースに作られた日本国内の試験です。効力が日本に限定されている一方、より日本市場の需要を反映しているという特徴があります。外資系を目指さない人にとってはLinucを受けるのも良いでしょう。

RHCE/RHCSA：RHELに特化した資格

Red Hat Certified Engineer (RHCE) および Red Hat Certified System Administrator (RHCSA) は、Red Hat Enterprise Linux（RHEL）の知識とスキルを評価し認定する資格です。Red Hatは有料LinuxのシェアNo.1企業で、RHELはRed Hat社が提供するlinuxディストリビューションを指します。

RHCEは、システム管理の上級レベルの知識を持つプロフェッショナル向けで、RHCSAはより基礎的な内容が範囲となる資格です。RHCEを取得する前にRHCSAの取得が必要です。

この2つの資格試験の特徴はRHELに特化していること、そして実際の開発タスクを行う実技試験であるということでしょう。そのため現場でRHELを利用している人に向けた試験であると言えます。

学習を始めるには、Red Hatが提供するオンラインコースや教材を活用すると良いでしょう。また、過去問を利用して、知識の確認や弱点の特定を行うことが効果的です。

CompTIA Linux+：海外で評価される資格

CompTIA Linux+は、Linuxに関する初級知識とスキルを証明するための資格です。

CompTIAは米国シカゴで発足したIT業界団体で、さまざまなIT資格を提供しています。CompTIA Linux+試験は、Linuxシステムの基本を学べる資格で、日本ではまだまだ知名度が低いですが、海外のIT市場では評価される資格です。

学習リソースとしては、CompTIAが提供する公式学習ガイドやオンラインコースを利用すると良いでしょう。また、インターネット上には豊富な無料リソースやコミュニティも存在します。

Linuxの各資格に対応する知識・スキル

資格を取得するためには合格に向けた勉強が必要です。ここでは上記3つの資格を出題範囲をまとめましたので参考にして下さい！

LPICレベル1・2・3の違いと対応する知識・スキル

LPICは、主に3つのレベルから構成されており、1~3で、順に難易度が上がります。対応する試験範囲は以下のようになります。また、Linucも同様に3つのレベルに分かれます。

レベル1（LPIC-1）	101試験	Linuxのインストールと仮想マシン・コンテナの利用 ファイル・ディレクトリの操作と管理 GNUとUnixのコマンド リポジトリとパッケージ管理 ハードウェア、ディスク、パーティション、ファイルシステム
	102試験	シェルおよびスクリプト ネットワークの基礎 システム管理 重要なシステムサービス セキュリティ オープンソースの文化
レベル2（LPIC-2）	201試験	システムの起動とLinuxカーネル ファイルシステムとストレージ管理 ネットワーク構成 システムの保守と運用管理 コンテナ
	202試験	ネットワーククライアントの管理 HTTPサーバーとプロキシサーバー 電子メールサービス ファイル共有サービス システムのセキュリティ システムアーキテクチャ
レベル3（LPIC-3）	300試験（混在環境）	Sambaの基礎 Sambaとアクティブディレクトリドメイン Samba共有の設定 Sambaクライアントの設定 Linuxのアイデンティティ管理とファイル共有
	303試験（セキュリティ）	暗号化 ホストセキュリティ Access Control ネットワークセキュリティ 脅威と脆弱性評価
	305試験（仮想化とコンテナ化）	Full Virtualization コンテナ仮想化 VMのデプロイとプロビジョニングHigh Availability Cluster Management HAクラスタストレージ HA分散ストレージ 単一ノードHA
	306試験（高可用性とストレージ）

LPIC-1と2は2分野に分かれており、その両方に合格する必要があります。対してLPIC-3は4分野に分かれており、1つの試験に合格するとその分野の資格を取得可能です。

LPICは数字が上がるごとに難易度と専門性が上昇します。例えばLPIC1と2では同じLInuxの操作でも、1だとLinuxのインストールができれば良いレベルですが、2だとセキュリティを取り入れたシステムやHTTPサーバー構成のスキルが求められます。

RHCE/RHCSAの違いと対応する知識・スキル

RHCSAは基本レベル、RHCEはそれより高度なレベルとなります。

RHCSA	ファイル、ディレクトリ、コマンドライン環境、およびドキュメントを処理するための基本的なツールの理解と使用 シンプルなシェルスクリプトの作成 異なる実行レベルでの起動、プロセスの識別、仮想マシンの起動と停止、サービスの制御など、稼働しているシステムの運用 パーティションと論理ボリュームを使用してローカルストレージの設定 ファイルシステムとファイルシステム属性 (許可、暗号化、アクセス制御リスト、ネットワークファイルシステムなど) の作成および設定 ソフトウェアのインストール、更新、コアサービスなど、システムのデプロイ、設定、および保守 ユーザーとグループの管理 基本的なファイアウォールと SELinux の設定など、セキュリティ管理 基本的なコンテナ管理の実行
RHCE	基本的なツールの理解と使用やシステムのデプロイ、設定、保守などRed Hat 認定システム管理者として担当するすべてのタスクを実行する能力 Ansible のコアコンポーネントの理解 ロールと Ansible Content Collections の使用 Ansible 制御ノードのインストールと設定 Ansible 管理対象ノードの設定 Automation content navigator による Playbook の実行 Ansible の Play と Playbook の作成 Ansible モジュールによる標準的な RHCSA タスクの自動化 コンテンツの管理

CompTIA Linux+の違いと対応する知識・スキル

CompTIA Linux+ の範囲は以下のようになります。

• ハードウェアとシステム設定
• システムオペレーションとメンテナンス
• セキュリティ
• Linuxのトラブルシューティングと診断
• 自動化とシェルスクリプト

CompTIA Linux+ は900点のスコア方式で、720点以上で合格です。試験は単一/複数選択だけでなく、実際にシステムを動かすパフォーマンスベースの問題も出題されますので、実際にLinuxコマンドを動かしたり、トラブルシューティングを実践することが重要です。

Linuxの資格取得のための効果的な学習方法とリソース

LInuxの資格は決して簡単なものではありません。初級の資格でも十分な理解と対策が求められます。最後に資格試験合格のために考えるべきポイントの解説をするので参考にして下さい。

オンラインリソースと教材の選定

Linuxの資格を自学する際、教材の選定が重要です。最初に、自身の学習スタイルと知識レベルを理解しましょう。自らの学力に合ったリソースを利用することで、学習の効率と効果が大幅に向上します。

インターネット上には、Linuxに関する多くの学習教材があります。例えば、Udemyなどのオンライン講座の受講や、qiitaなどでLinuxコマンドの使い方を学ぶと良いでしょう。また、各資格が用意している専用の学習教材を使うのもよいでしょう。

オンラインリソースを選定する際には、コンテンツの信頼性に注意しましょう。古い情報や誤った内容を学習すると、逆に混乱を招く可能性があります。また、理論だけでなく、実践的なスキルを習得するため、実際にLinuxを操作する機会を増やすことも重要です。

過去問の活用

学習が進んだら、過去問を解いて学習の成果を確認しましょう。過去問を解くことで、試験のフォーマットに慣れ、出題傾向や時間管理のコツを掴めるようになります。

また、過去問を解いた後、間違えた問題や不確かな問題を復習し、理解と記憶を深めることが重要です。特に、弱点となっている領域を重点的に学習し、理解を深めることで、全体のスコアを向上させることができます。

過去問は、学習計画の見直しや調整にも役立ちます。自身の理解度や準備度を客観的に把握することで、学習スケジュールの作成や、必要に応じて学習方法を変更することができるでしょう。

過去問を利用することで、試験に対する自信を得ることができ、精神的なプレッシャーも軽減します。これにより、本番の試験日に最高のパフォーマンスを発揮し、Linux資格取得の成功に一歩近づけるでしょう。

LPICとRHCE/RHCSAの過去問はインターネットで無料公開されているので積極的に使いましょう。また、資格取得支援学校では模擬試験を開催している場合もあるため、そちらの利用もおすすめです。

計画的なスケジュール作りとモチベーションの保持

継続的な学習のためには、計画的なスケジュール作りが重要です。まず、現実的かつ達成可能な学習計画を立てましょう。自分の生活スタイルや他の仕事を考慮しながら、一日の学習時間や学習内容を設定しましょう。また、短期目標と長期目標を設定することで、目標に対する意識と動機が保たれます。

また、モチベーションの保持には、達成した目標に対して報酬を与えることが効果的です。小さな成功ごとに自分を褒めることで、学習意欲が保たれ、継続的な学習が可能になります。目標を達成したら欲しいものを買うこと、毎日の学習の成果をノートに書き写し、学習の進捗を定期的に振り返ることなどがおすすめです。

継続的な学習を続けることで、困難を乗り越え、目標の達成が可能になります。自分に適した学習スタイルを見つけて、一歩ずつ前進しましょう。

まとめ：適切な資格を選定し、効果的な学習方法で取得を目指そう

Linuxの資格は、Linuxのエンジニアが知識と実践的スキルを持っていることの証明です。特に未経験者にとっては、キャリアアップを図るための重要なステップとなり得ます。各資格は特性や難易度が異なるため、個々のキャリアゴールや既存のスキルセットに基づいて、適切な資格を選定する必要があります。まずは自分のキャリアプランを見直し、適切な資格を選びましょう。

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